3000の質問に答えるブログ

”わたし”についての3000の質問にひとつずつ答えるブログです。

認知症の終末医療にはウソも必要

 

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On what occasion do you lie?

 

質問ナンバー7は嘘についてです。  「あなたはどんな時に嘘をつきますか?」

 

嘘も方便と言いますけど、正直って私は嘘を言うこと多いです。  え、嘘つきなの!?と思わないでくださいよ。  私が言っている嘘というのは、テレマーケティングでしょっちゅう職場にかかって来る電話で、ビジネスのオーナーはいますか、と聞かれたときに、ただいま留守にしておりますが、伝言を承りましょうか、とかいうそういう嘘です。  そういう嘘をつく人は、結構多いんじゃないでしょうか?

 

もちろんそう言う嘘以外に嘘はついたことがないと言ったら、それこそ嘘になりますね。  私がすぐに思い浮かべるのは、数年前に亡くなった父に言った嘘のことです。  これについては自分を正当化したいのと、似たような経験をしている人がきっといるのではないかと思うので、ちょっと記事を書いてみたいと思いました。

 

認知症の人は昨日と今日を継続して考えられない

 

私の父は認知症を患っていました。  普通に話をしたら、知らない人はきっとはじめは認知症だとは気づかなかったと思います。  自分の身の回りのことはきちんとしていたし、ちゃんと辻褄の合うことを話していたからです。  でもついさっきの記憶がなくなってしまうものだから、同じ質問を何度も繰り返したので、ちょっと会話を続ければ、なんだかおかしいぞ、と思うような程度の認知症でした。

 

私はアメリカに住んでいて父がボケて行く過程を見ていなかったし、その他の健康状態も知りませんでした。  ある時母が病気になって、私が日本に帰ったときに、どうやら父の胃がおかしいと言うことを知りました。

 

どうも今日は胃の調子が悪いなあ、と言って胃薬を飲んでいることがありましたが、その次の日も、どうも今日は胃の調子が悪いなあ、と、父にとってはその日に限って胃の調子が悪いように感じていたようです。  昨日のことは忘れてしまっているから、普通の人みたいに、昨日は胃が痛かった、今日も痛い、確かおとといも痛かった。  もしかしたら胃の病気かもしれない、と言う考え方が出来なかったんですね。

 

母が強く言えなかったのと、父がいつもその日だけのことだと思っていたせいで、病院で調べてもらうこともなく、知らないうちに父の胃がんはかなり進行していました。

 

嘘を言って病院に連れて行った 

 

父の様子がおかしくて、これは病院で診てもらった方がいいとはわかっていても、普段一緒に生活していた私の家族には、頑固な父を病院に行かせることが出来ませんでした。  そこへ私が久しぶりに海外から帰ってきたので、私は自分を言い訳に使って、父を病院に行かせることにしたのです。

 

私は全く体に不調なんて感じていなかったのに、どうも調子が悪いから医者に診てもらいたい、と父に相談し、いい病院を知らないから、お父さんのよく行くお医者さんを紹介して欲しい、と一緒に病院に行ってくれるように頼んだのです。  それこそ真っ赤な嘘でしたけど、それで父と病院に行くことが出来ました。

 

そして病院に着いたら、父はもう私がなぜ病院に来たのかは覚えていないので、先回りして医者に父が胃の不調を訴えていると話して、診てもらうことが出来ました。

 

結局この時に、父はかなり進んだ胃がんを患っていることがわかりました。  

 

黙っているのも嘘と同じ?

 

まだがんが初期の段階で、治療をしたら治ると言われれば、私たちは父に出来る限りのことをしてあげたと思います。  でも胃を取らなければいけないような段階だった父の場合、手術をすると言うことを理解できるのかもわからなかったし、手術をした後に認知症がひどくなったり、年齢的にも体に負担が大きかったかもしれないから、結局延命治療は何もしないことに決めました。  

 

本人の意見も聞かずに勝手に決めてしまったことに関しては、申し訳ないと思うけど、認知症のある場合、本人に決定能力がない場合もあるから、それは仕方ないことだと思います。  アメリカではきちんと後見人に指定された人以外は、家族でも勝手に色々と決められないけど、日本の法律はよくわかりません。  

 

治療をしないことだけでなく、胃がんであることも父には言いませんでした。  認知症ですぐに聞いたことを忘れてしまう人は、何度も同じ質問を繰り返します。  そしてそのたびに同じことを答えても、いつも初めて聞いたことのように感じるんです。  もしお父さんは胃がんだよ、と言ってショックを受けさせても、すぐに忘れてしまいます。  それでまたお父さんは胃がんだよ、と言ったら、またショックを受けることになるんです。  何がショックだったかは覚えていなくても、体はショックを覚えています。  だから悲しい知らせを何度も聞かせるのは、とても気の毒なことなんです。

 

昔は本人にがんの告知をするのことはあまりありませんでした。  まず家族に医師が話して、家族が納得したら本人に伝えると言う感じでした。  でも自分の体のことを自分が知らないのはおかしいです。  アメリカでは告知は当たり前のことです。  自分で自分のことは決めるのが基本です。  だけど認知症の場合、知らない方がいいこともあると思います。  だから病気のことは黙っていて、あれこれ嘘を言ってごまかしたりしなければいけないんです。

 

終末医療のお医者には感謝の気持ちでいっぱいです

 

末期がんなどで治療をしないと決めた時、あとは亡くなるのを待つだけとなったら、アメリカではホスピスという選択肢があります。  病院とは違うホスピスケアという施設もあるし、自宅にホスピスケアの人が来てくれて、最期の時までお世話してくれることもあります。  

 

日本にはホスピスの数が少なく待たなくてはいけないので、父が弱って来た時には、すぐに入ることはできませんでした。  それにホスピスは本人の承諾が必要です。  だから私たちは終末医療のお世話になりました。  

 

お医者様は若いのにとてもよくトレーニングされた方で、本当に親切によくしていただきました。  父にはがんのことは伝えたくないということを理解してくださって、父にはがんという言葉は使わずに、病気のことを上手に伝えてくれました。  

 

 

あの終末ケアがなかったら、私たちはどうしていたかわかりません。

 

一番大切なのは思いやり

 

私はボランティアで認知症のお年寄りと接することが多いですが、やっぱり相手の人が悲しい思いをしたり、ショックを受けたりしないように、それとなく真実とは違うことをいうこともあります。  

 

相手のことを思いやっていう嘘は、許してもらえる嘘なのではないかなあと思います。 

 

 

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